【これは美談か?冒涜か?】 映画 永遠のゼロ ネタバレなし感想 時代と環境はこんなにも人を翻弄する【うつを歴史で紛らわす】

戦争

 

こんにちは。haruです。

毎日映画日記を更新する試みを行っていますが、また日が空いてしまいました。

なんだかんだ映画は地味に観ているのですが、体調面と、何故か忙しい日々のせいで、毎日書くのが難しい…

言い訳にしかならないのですがね。

ところで話は飛躍しますが、YouTubeのショート動画ってすごくないですか?

詳しく調べたわけではありませんが、現代人の脳みそは手軽に手に入れられる快楽を好む傾向が著しく上昇しているという話を聞いたことがあります。

そんな現代、たった何秒間かで人の心を惹きつけるように出来ているショート動画は改めてそういった現代人のことをよく研究して開発されたコンテンツだなあと感心するばかりです。

今や「テレビすら持ってない、何故ならスマホで完結できちゃうから」なんて人も多いのではないでしょうか。

私も例に漏れず暇な時間はショート動画を見る機会も少なくないのですが、最近YouTubeで”神風特攻隊“についてのショート動画を目にしました。

「特攻前に残した大切な人への遺書」
勉強嫌いで、歴史にもあまり興味の無かった私。
今までなら即スワイプしていたことでしょう。

ですがその特攻に志願した人の年齢を見て、よくよく考えたときにすごくゾクッとして、いくつか動画を探して観てみました。

筆者は今年で26歳になりました。
そんな中、特攻という10分の10死にに行くような作戦に参加した人々の年齢はそのほとんどが18〜22、3歳と、皆年下だったことにとてつもない違和感と恐ろしさが湧き上がってきました。

そして、それと同時に
「どうしてそんな作戦に”天皇陛下万歳”と言いながら飛び込めたんだろう?」
「年齢は同じくらいなのに、現代の若者とこの時代の若者とのこの精神力の差は一体何処から生まれるんだろう?」

こんな疑問が生じたのです。

先程も綴ったとおり、今までの私は歴史についての興味はほとんど無いに等しく、そのせいか日本が制作した戦争映画を全くと言っていいほど観ていないことに気が付きました。

そんな私の中に、沸々と湧き上がってきた「もっと知りたい」という欲。

今まで触れてこなかった日本が制作した戦争映画を観てみようと思い、今回は映画「永遠の0」を鑑賞しました。

ということで、今日は永遠の0の鑑賞記録と、鑑賞して感じた感想を率直に綴ってみようと思います。

作品詳細

監督:山崎貴
原作:百田尚樹
公開日:2013年12月21日
上映時間:144分

日本の制作した戦争映画、尚且つ零戦についての映画ならこれだろうと、一番最初に思い浮かんだ映画です。

もちろん、他にもいろいろあるとは思いますが、本作は評判がかなり良いということも知っていたので観てみることにしました。

率直に言うと私は、「岡田准一が主演ですよ」とか「三浦春馬が出てますよ」と言った日本のマスメディアの売り込み方が苦手です。

何故なら、ストーリー自体に誰が演じるかは干渉しないからです。
例えば10役あるうちの10人に、自分の色をどれだけ消してその役になりきれるかこそが役者の一番大事な部分なのではないかと思っています。

だからこそ、演技を観たときに「この人の作品なら観てみたいかも」という気持ちになるのであって、最初からそれを売りにするのはどうなのかな…と思ってしまいます。面倒ですね。

話が逸れてしまいました。
そんなこんなで観る気があまり起きなかった本作ですが、今回がきっかけで観るに至りました。

あらすじ

太平洋戦争末期。
勝利を目前にしたアメリカを大混乱に陥れた、たった一機の戦闘機。「悪魔」と呼ばれたそのゼロ戦は米軍最強の空母艦隊による一斉射撃。百万の銃弾をくぐり抜け、包囲網を突破してみせたのだ。その「悪魔」を操るパイロットは、実に意外な人物であった。宮部久蔵。天才的な操縦技術を持ちながら、生還することにのみ執着し、仲間から『臆病者』と罵られた男だった…。

by Filmarks

【ネタバレなし】感想

ぶっちゃけますが、あくまで筆者個人の感想ですので悪しからず。

こんなにもご都合主義のお涙頂戴映画だったとは思いませんでした。

評判が良いと聞いていたこともあって期待しすぎていたのでしょうか…。

原作は読んでいないので、どれくらい小説との内容に誤差があるのかは比較が出来ないのですが、小説を読む気にもなれませんでした。ので誰か教えてください。原作でも本当にこの結末ですか?

だとしたら尚更残念でなりません。
何を観させられているのか途中からよく分かりませんでした。

逆に、途中まではアリだったんですよ。

作中、橋爪功さん演じる井崎が病室で、祖父・宮部がどんな人物だったか語るシーン。
三浦春馬さん演じる健太郎が、一体宮部がどんな人物だったのかを知っていく。ここまでは、もしかしたら本当にこんな人物がいたかもしれないと想像が膨らみました。

しかしここからが私の納得いかなかった部分です。
一体、山崎監督も原作著者・百田さんも何を伝えたかったのでしょう?

もしもリアルを売りにするのであれば、「現代人と当時を生きた人との死生観の違い」をもっとはっきり描いてほしかったです。

私達は今この現代日本で、死を常日頃感じながら生きていますか?
特攻とまでは行かなくとも、戦争の前線に出る勇気を持ち合わせていますか?

当時の日本人は「兵士」になるために教育を受け、国のために死ねることがどれほど名誉なことなのか教えられてきたはずです。そんな戦争に参加することに対して、子供たちが憧れを抱くほどでした。

それは現代人からすれば狂っているとしか言いようがない。他国の人々が日本人に恐怖を抱いた気持ちの方が、感覚的には現代の日本人も近いものを持ち合わせているのではないかと思います。
少なくとも、私は調べた少しの知識だけで感じ取ることが出来ました。
現代と当時では、死生観についてそもそもの前提が大きく異なると。

であれば、当時の宮部の言動がどれほど他の日本人の怒りを買うのか、てんで描かれていません。

そして極めつけは「綺麗すぎる」のです。
生に執着するならば、映画「火垂るの墓」で清太が他人の家に土足で上がり込んで米をかっ食らうように汚いことをしてでも生きたいと願うのが人間です。生に執着した人間を中心に描いた作品であるにも関わらず、奇跡は何度も続くし宮部の汚い人間性を描いたシーンが一切ない。

あまりにも現実離れしすぎです。
ということは、リアルを描くということを目的としているわけではない…。

かと言って「戦争は繰り返してはいけないことだ」と語りかけている訳でもありませんでした。

何が言いたいかというと、私がこの映画から感じ取ったのは「薄っぺらい作り物」ということです。

現代人の視点のまま悪戯に戦争という題材を取り上げ、如何にも綺麗な宮部久蔵が現実であったような魅せ方をしている。冒涜のようにも感じてしまいました。

悪いところだけじゃない?

しかし洋画であっても邦画であっても、それぞれの国を知ること、またはそれを発信することに於いてはどうしても自国の歴史を正しいと思いたい、もしくは正しかったと伝えたいと思うのがこれまた人間です。

不謹慎ではありますが、零戦の飛行シーンなんかはとても美しく、そのダイナミックさは目を見張るものがありました。日本はあのときたしかに、世界一の飛行機に乗っていたんだなと感じさせられます。

戦争を題材とした映画では、観る側も制作する側もそれぞれの国によって視点の方向性が大きく異なります。
まずはこういった映画で日本の歴史に興味を持つという点では、いい入門作品なのではないかと感じました。

まとめ

今回は鬱状態の中で「永遠の0」を初鑑賞、率直な感想を綴ってみました。

筆者はなかなか好きになれない映画でしたが、決して悪い点ばかりの映画で無いことはたしかです。

歴史を知ることは今を知ることでもある。

懲りずにもう少し歴史について勉強してみようかなと気が紛れるいい作品でした。

しばらく私の戦争映画の旅は続きそうです。

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